Here is a bridge that is the stage of "SHINJITSU ICHIRO" by YAMAMOTO Yuzo. Please bring your pen.
山本有三の「真実一路」の舞台となっている橋です。この橋で母と子が出会います。橋は、昭和44年の架け替えに伴い、この小説にちなんで「一路橋」と改名されました。ペンを持参ください。
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高価なものは入っていません。探すことや知らない土地に行くことを楽しむゲームです
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有三は、橋の近くにあった旅館「翠松館」で「真実一路」を執筆しました。翠松館は老巧化によって取り壊され、今はありません。旅館のあったあたりには公園があります。
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海面に夕もやがおりかけて、水も空も一様にネズミ色に染まっていったが、志保田川の川かみのあたりだけは、入日の反射でぼうっと明るく光っていた。と、やど屋の女中に案内されて、せいのすらっとした、どこかあだっぽいところのある女が、橋の上にあらわれた。
(中略)
「ちぇっ!」
義夫は舌うちをして、うらめしそうに空を見た。と、その目はひとりでに橋の上のむつ子の目と、ぴたっとかち合った。四つの目は、かつて見たことのない何かを、お互いに感じ合った。
しかし、義夫は、不意におとなの黒い目にぶつかったものだから、胸がどきっとしたので、あわてて顔を伏せてしまった。が、こわいもの見たさというのであろうか、もう一度むこうの顔を見たいような気がして、彼は首をちぢめたまま、ひたいの先のほうから、橋の上をそうっとのぞいて見た。
背のすらっとした、黒い薄ものを着た女の人が、もやのたちこめた橋の上に立っている姿は、義夫のような子どもにも、ある美しさを与えた。彼はひたいを少しずつあげていって、橋の上の人の顔を注意ぶかく見ようとした。そうしたら、また向こうの目と、まともに衝突してしまった。
(中略)
と、むつ子の目も、なんとはなしにつりをしている少年の目に吸いつけられていた。彼女の当面の人は、少年の横にいる隅田でありながら、それでいて不思議にこの子どもの目に魂を奪われた。なんといういい目をした少年だろう。ひき寄せて、ほおずりしてみたいようなかわいらしさを、むつ子は強く心に感じた。
―― 山本有三全集・新潮社
