広大なヨシ原が黄金色に波打つ、夕暮れの渡良瀬遊水地。その中心、栃木・群馬・埼玉の三県境に、三人の男が立っていた。
「ここに来れば、誰が一番かハッキリすると思ってな」
栃木が腕組みをして言った。ここは日本で唯一、平地で三つの県が接する場所。沈黙を破ったのは群馬だった。
「一番も何も、この遊水地のハート形、あれは俺の愛の深さを表してるんだよ」
「何を。面積の大部分は栃木だっつーの。お前、さっきから風で髪型崩れるの気にしてるだけだろ」
栃木がツッコむと、埼玉が鼻で笑った。
「どっちもどっちだよ。ここは東京から一時間。俺たちが都心への橋渡しをしてやってるから、お前らも潤ってるんだぜ?」
三人はいつものように、自県のプライドをかけて小競り合いを始めた。特産品、山、鉄道の利便性。言葉の礫が飛び交うが、どこか楽しげでもある。

ふと、群馬が強烈な「からっ風」に煽られてよろけた。それを支えようとした栃木が足を滑らせ、埼玉の肩を掴む。三人はもつれ合い、三県境の標柱を囲むようにして地面に尻餅をついた。
顔を見合わせる。泥だらけの服、乱れた髪。
「……ダサすぎるだろ、俺たち」
埼玉が吹き出すと、栃木も群馬も、こらえきれずに腹を抱えて笑い出した。三県境に、三人の笑い声が吸い込まれていく。
夕日が地平線に沈み、空が深い紫に染まる。後から合流したポーカーフェイスの茨城がニヤリと笑う。
それを見た三人は一斉にこう言った。
「◯◯◯◯◯◯」
◯に当てはまるフレーズはなんでしょうか?